【8話】「空回り」(スプライト)
ベッドの上で今日の出来事を思い出す。
「歌…覚えよう…。」
・・・
(ジリリリリリ)
目覚まし時計を止める。
いつの間にか寝てしまってたようだ。
「いってきまーす。」
教室に着くなり席に着く。
相変わらず葵はまだ来ていないようだ。
隣の馬鹿真面目な男子は教科書を読んでいる。
「お、おはよう…。」
「・・・」
愛想のない人だな。
心の中で叫んだ。
「おっはよー!」
葵が教室に入るなり叫ぶ。
席に着く前に葵が輝の机の上を勢いよく叩く。
(バンッ)
「お・は・よ・う!」
「お、おはよう!」
「昨日より元気はいいみたいね!」
「う、うん!」
朝から心臓が高まる。
チャイムと共に担任の佐々木が教室に入って来た。
「昨日掃除をサボった人ー?」
「は、はい。」
小声で輝が答える。
「あっ私です!輝君に掃除の担当場所を
伝え忘れて2人で帰ってしまいました!」
「え!?」
輝は訳も分からずただただ驚く。
「じゃあ今日は2人で教室の掃除をするように。」
佐々木が体育系さながらの罰を与える。
葵は笑っている。
なんでこんなに明るいんだろう。
「じゃあ今日も一緒に帰ろっか!」
「う、うん!!」
4時間目のチャイムが鳴る。
「葵…今日のお昼も一緒に食べない?」
「ごめん!今日お昼忙しいんだ!」
断られてしまった。
一気に自信がなくなる。
廊下で待っていたのは、隣のクラスの男子だった。
葵と隣のクラスの男子が笑いながら廊下を歩く姿を見て、泣きたくなる輝。
結局浮かれてるだけだな僕・・・。
6時間目のチャイムが鳴り、2人きりの掃除の時間が来た。
少しだけ気まずい。
「輝君!この後どこか行く?」
「あ、あぁ…ごめん。今日帰り寄らなきゃいけないところあったんだった。」
隣のクラスの男子が気になって。
そして全てにおいて負けている。
そんな気持ちからか嘘をついてしまった。
「そうだったの!?じゃあまた今度だね!」
「そうだね…」
帰り道。
夕日を背中に輝はゆらゆらと帰っていった。
〜
隣のクラスの優等生。
空回りの原石輝。
頑張れ原石輝!!
次回「輝の本気」
原石輝は変われるのか!?
お楽しみにー!