4人5脚

メンバー: <ばる・スプライト・ウィンストン・がぶたろう>ルール:物語を書いて次にパス。題名・次回予告も物語を書いてる人に決めてもらいます。ツイッターやってます。

【12話】「男の正体」(さおぺろ)

「輝、あいつの事好きなの?」

春起がニヤニヤしながら聞いてくる。

 

自然と顔が曇る。

 

こいつも人見知りだったのかな。

遊ぶ前と後じゃ全然人が違う。

 

「輝、お前分かりやすいなー。可哀想だから言ってやるよ。

葵と隣のクラスの男子、あいつらは…」

 

 

耳を塞ぎたくなる。

 

「同じ委員会の委員長と副委員長なんだぜ。」

 

輝の顔が少し晴れる。

が、朝の事を思い出し、また曇る。

 

「ホントわかりやすいなー。あいつら飼育委員なの。来てばっかりだから分からなくて当たり前だけど、

学校裏で捨て犬を飼ってるんだよ。」

 

朝の事といい、昨日の事といい、怪しすぎる為か、納得がいかない。

 

「じゃ見に行ってこいよ。学校裏。」

 

 

ご飯が喉を通らず、仕方なく学校裏に向かった。

 

 

 

「もう大丈夫だね!」

「あぁ、これで大丈夫だ。」

葵の声と男の声が聞こえる。

 

 

飼育小屋を覗く。

そこには生まれて間もない子犬に餌を与える葵と男の姿があった。

 

 

「あれ?輝君どうしたの?」

葵が気づく。

 

「い、いや、なんでもない!」

慌てて目をそらす輝。

 

「本当によかった。昨日のお昼からいつ出産してもおかしくなかったからね。

今日の朝生まれた時は遅刻確定って思ったけど、こんなに元気な赤ちゃんでよかったよ。」

飼育委員長が笑う。

 

「そうだね!昨日の放課後は委員長に仕事押し付けちゃってごめんね?

 

 

…え?なんで輝くん泣いてるの?」

 

輝、目には大量の涙。

 

 

 

 

 

 

教室に戻るなり、葵が輝に言う。

「昨日帰り道に子犬が産まれそうって言おうと思ってたんだけどね」

舌を出して頭を叩くそぶりをする葵に輝は顔を真っ赤にする。

 

「か、かわいい…」

つい言葉が漏れる。

思わずニヤける春起。

 

「え?なんか言った?」

葵が笑いながら聞いてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

5時間目のチャイムと共に、輝の心の中に、恋のスタートを知らせるピストルの音が鳴った。

 

 

 

 

 

転校最初の日曜日。

輝と葵は遊園地!?

お化け屋敷で吊り橋効果!?

 

 

次回「楽園」

 

 

 

お楽しみに〜!!