【5話】「動き出す輝」(スプライト)
「ねぇ!輝君の弁当ちょっとちょうだい!」
葵が口を開いた。
「え、い、いいけど…」
口がごもる。
葵は俺に気を遣っているのだろうか。
楽しくないんじゃないか。
そんなことばかり考えてしまう。
・・・
「もう我慢出来ない!」
葵が大声を出す。
はぁ、やっぱり楽しくなかったのか。
そう思わざるを得なかった。
「輝君さ!自分に自信がないんでしょ!もっと明るく話せないの!?
せっかくのお昼なんだし、最初はみんなと馴染めなくて
緊張してるのかもしれないけどさ、もっと自分出していこうよ!」
おっしゃる通り。
僕はなんでこんな根暗なんだろ。
せっかく葵に話しかけてもらったのに。
嫌われちゃったな…。
「私が輝君を変えてあげるから!」
「はい…。わかりました…。」
話を聞く余裕すらない輝。
葵が言った言葉の意味を考える前に返答してしまう。
「じゃあ今日は一緒に帰るよ!わかった?」
「え、ちょっと、待って!?」
「返事は『はい!』わかった?」
「はい!」
〜
意味も分からず、返答した輝。
転校早々、恋の予感。
少しずつ動き出す輝にさらなる試練!?
次回「恋に落ちる音」
お楽しみに〜!!